道教(どうきょう)とは  ≪中国・民族・道教≫

道教は、中国民族の固有の生活文化のなかの生活信条、宗教的信仰を基礎とした、中国の代表的な民族宗教である。

それは漢時代以前の巫祝(ふしゅく)信仰や神仙方術的信仰および民衆の意識などが基盤となって、漢代に黄老(こうろう)信仰が加わり、おおむね後漢(ごかん)末から六朝(りくちょう)時代にかけて形成され、現在でも台湾や香港(ホンコン)などの中国人社会で信仰されている。

初期の道教的信仰は、不老不死の神仙を希求したり、巫術や道術による治病や攘災(じょうさい)に重点を置いたが、儒教や仏教と競合し、影響しあい、内的修養や民衆的道徳意識の堅持を中心とする信仰をも重視するように発展した。

道教とは、その思想、教理、技術、社会、教団、信仰対象および信仰儀礼などすべての要素を含む文化複合体である。

それは、中国の歴史、風土、地域的条件のなかで、政治や社会、文化などと関連しながら展開された生活文化を基礎とするものである。いわば中国民族固有の宗教文化であるといえる。

同じような発展形式をもつものに儒教がある。

しかし両者の差は、儒教が中国の社会、国家の秩序、および学問技術を統治者の立場から究明しようとするのに対し、道教は宗教的要素を中心にして、社会の秩序および学問技術を民衆の立場から究めようとするところにある。

したがってそれには、儒教の退けた迷信や魑魅魍魎(ちみもうりょう)、変怪鬼物など、巫祝的鬼神信仰も含まれる。

この道教の概念は、「民衆道教」と「教会道教」(成立道教)の二つに大別することができる。

民衆道教とは、農民や民衆一般の信仰や生活信条およびそれによって組織された集団や結社をいう。

これは後漢末にはおこっていたが、とくに宋(そう)代以降の庶民社会の発展に対応して儒教や仏教などとの合一下に展開したものである。

一方の教会道教とは、国家や王朝によって公認された道教の教団・教派であり、5世紀の寇謙之(こうけんし)の「新天師道」が最初である。

天師道は初め、「三張(張陵(ちょうりょう)、張衡(ちょうこう)、張魯(ちょうろ))の五斗米道(ごとべいどう)」といわれ、後漢末におこった農民を主とする初期の民衆道教であったが、魏(ぎ)・晋(しん)の政権下に発展した新五斗米道すなわち新天師道は北魏王朝の公認によって教会道教となった。
update:2009年08月21日